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2005年11月30日 (水)

「お客様を知る」のが戦略の入口

あらためて経営戦略というと取っ付きにくいですが、やさしく言うと因果関係論の一つでは、と最近思っています。 都々逸の文句に「こうしてこうすりゃこうなるものと 知りつつこうしてこうなった」というのが有りますけど、この都々逸をビジネスの世界にハメ込むと、結果として「儲かっちゃった」になるためには原因を「どうすりゃいいのか」ですよね。結果を、いきなり「儲かっちゃった」でなく「商売繁盛」まで位に留めれば、正しい原因「どうすりゃいいのか」に辿り着けそうです。

過去の出来事を扱うときは「原因と結果」と言い、将来の見通しを語るときは「目的と手段」などと、表現は変わりますが、どちらも「因果の連鎖」を扱っていることは同じです。 ビジネスで、手段の目的、目的の上位目的、と因果の連鎖を ”目的” の方向(上の方)へ辿っていくとき、”市場との接点にあって因果の連鎖が太い束になって集中している目的” のことを「経営戦略」と言うのではないでしょうか。 そんな目的(=経営戦略)に最もフィットした手段の連鎖を設計し、運用すること、が「経営」ということになります。 その手段の連鎖(下の方)の行き着くところに経営資源のヒト・モノ・カネ・情報があります。

その束が集中した目的として、一般論では良く「顧客価値(カスタマー・バリュー)」をハメ込みます。これを個別の企業では、その企業が提供する独自の顧客価値にカスタマイズします。 その際には、顧客の性格や価値観をよく観察・理解しかつ近未来を予測する必要があります。 「何を=顧客価値」だけでなく「誰に=顧客理解」が経営戦略である、と言われるゆえんです。  顧客価値は時代と共に変わるので、それに連れて手段の連鎖も変わらないといけませんし、手段そのものもITなどの進歩で変わります。 それを経営革新と言います。手段の根っこのところにヒトが居て、多くの場合はヒトの手を使うだけでなく頭も一緒に使いますが、変わることに慣れていない頭で惰性で仕事をしていると、そのヒト本人だけでなく会社も顧客価値の変化に置き去りにされてしまいます。 矢沢永吉も「シェイクしろ!」といってます。シェギナベイビー!って。

部材下請け(BtoB)製造業にとって、顧客とはセットメーカーやそのユニット(一次)下請けメーカーです。 そうした顧客企業の価値観は個別によく観察し理解する必要があります。 その為に生産財マーケティングの仕組みがあり、営業が居ます。 しかし、ある程度一般的に共通した価値観もあります。 部材のお客様にはQ(品質)とD(納期)に対する”守りの価値観”が支配的です。 顧客企業にとっても顧客価値を創り出すバリューチェーンの一部を部材下請けである御社に託すのですから、しっかり守ってくれなくちゃ、という価値観ですよね。 

でも顧客企業は部材下請けからの積極的な提案を期待する”攻めの価値観”もお持ちです。 ものづくりを担う下請が”攻め”に対して顧客企業に提案できることは、ものづくりの現場を持っているからこそ言える①開発をスピードアップする提案、②顧客企業での製造QCDを向上する提案、③物流・在庫に貢献する提案、④保守のQCDさらには保守体制を軽減する提案など、顧客のプロセスを考えるだけでも多様な提案のヒントがあります。 さらには、顧客の顧客、つまりエンドユーザの使用シーンを想定した顧客価値や捨てる場面(LCV:ライフサイクルバリュー)にまで突っ込んで提案を考えるなら、さらに多様な提案が潜んでいます。 いわゆる「擦り合わせ型モノづくり」です。

そうした提案力を発揮して顧客の”攻め”に貢献するには、顧客企業の資材購買部門に営業するばかりでなく、その上流の開発部門まで食い込んで「困りごと」を聞き出す営業力が欲しいものです。 そして、「ものづくりの現場から」の提案をするためには営業は自社の製造現場とコミュニケーションを密にして、日頃から提案ネタになりそうな工夫や技術を収集したり、逆に顧客の「困りごと」を現場に投げ掛けたりして、「困りごと」と「提案」のマッチングを促進することが必要です。それもスピ-ディーに。・・・こんな風にしていくつかの「因」を作り込んで顧客価値の「果」へと繋げる仕組みを整えます。

営業と言うと、しゃべりが上手で社交的で・・・俺なんて向いてない・・・と思い勝ちですが、実は「聞く」のが8割です。 残り2割の半分も質問で、その質問も売り込みの為ではなくて顧客の問題解決の為の質問なのです。 加えて、自社の製造プロセスに照らして顧客の「困りごと」に親身の相槌(あいづち)が打てれば営業の初心者としては完璧です。 例えば、「そうですか。それではシングル段取りまでもう一歩ですね。頑張られましたね。ご採用の外段取りで、例えば部材の荷姿の面から何かお役立ちできませんでしょうか?」 更には、「お困りの現場を見せて頂いてよろしいでしょうか?」  こういう会話ができる素地があるのはどの部門でしょうか。 

今、多くの中小製造業のボトルネックは営業部門に移っています。(と言っても生産現場の改善は絶え間なく必要です。) 顧客価値の動きを観察し、提供価値の見直しと仕組み(因果の連鎖)の再フィッティング、それに伴う経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)、特にヒトの能力開発が必要です。時代がITに変わっていることも考慮し、半歩先を行く全体バランスの良い仕組みや能力開発が望まれます。

「商売繁盛しちゃった」になる為に「どうすりゃいいのか」きっと社長さんは気付いて頑張っておられます。 E-mail: BZL12657@nifty.ne.jp

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